それは自分に最も近い者
嘗てはそれを我の類縁と認めず
今は認めざるを得ない
それに近付いているということなのか
そしてそれは嫌悪すべきもの
己に近いそれを嫌悪するならば即ち己を嫌悪するに近い
最も恐るべきは
それに限り無く近付いた時
「今の己が嘗て己が嫌悪した姿になった」ということを思い出せないであろうこと
即ち今の私はその時を以て死に,残るのは理想を目指した愚か者の残骸のみ
その残骸は生きていて
醜く,恥を知らず,理想を知らない
それは余りに恐ろしい
そして時間の問題でもある
私は残骸に近付いている
 
願いも空しく
否,この願いさえ風化し
遅かれ早かれその時は来る
それは一度目の死と呼べるだろう
今の私がいなくなるのだから